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歯周病専門医のしまぶくろ歯科医院です。

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ドクターのつぶやき 本音の独り言 monologue

弱音と苦悩

健康な歯肉

<診断こそが最も重要 >

多くの場合、何らかの痛みや不快感を訴えて来院される。他院で治療を受けていたという人もいる。
我々は普通の治療をおこなう。
何故普通の治療か。それはほとんどの場合普通の治療で十分だから
我々は症状を聞いて、お口の中をみて診査診断をして、多くの場合、普通にすべき対応をおこなう。当然だが、診断さえ間違わなければ素直に症状の改善が認められる。目の前に「病気」にかかった歯や歯ぐきが治してくれと訴えていて、こうすれば治るからとせがんでいるのだから、 処置をすれば一発必撃。ほぼ確実にこれを仕留めることができる。特別なことは何もない。

<可能な限り >

もちろん中には難しい症例や複雑な症例もあり、対応困難な場合や対応できない場合もある。歯周病の場合だけではな い。症状の原因がむし歯の場合もあるし、根の治療の場合も、また歯のわれている場合もある。希望があれば、できるだけ歯を残せ るようには頑張る。手をかけて、その時は何とかなっても、何年か先にやっぱりダメになることもある。
我々は魔法使いではないので、残すのが難しい歯を何年にも渡って、全てをしっかりと保存できるわけではない。「う〜んこれはやっぱり無理です」と、心ねじ切れる思いでお話しせねばならないこともある。試してもダメかも知れないけれど、と心苦しくも但し書きを付けなければならない。

<何をもって良しとするか>

相当に進行した歯周病を治すのは難しく、抜かなければならない場合があるのは事実だ。ここで侵襲性歯周炎(通常の歯周炎より重度になりやすいと考えられる)という比較的若い人に発症し、急速に進行する歯周 病を対象にした最近のとある研究を紹介してみよう。歯周病専門医が診察をおこなった研究報告だ。保存に疑問のある (questionable)と判断された歯については、治療をおこなって後、15年の間に抜歯となった例は約20%(平均4.5年残存)だった。同様に、保存が望み薄(hopeless)だと判断された歯の場合は、その後15年の間に抜歯に至った症例は約65%(平均3.9年残存)だ ったと報告している。これを逆にみると急速進行性歯周病の患者さんで、保存に疑問のある歯であっても、80%は歯周病メインテナンス治療をおこなえば少なくとも15年(研究では15までのフォローなので)保存可能で、望み薄と判断された歯でも35%が15年間保存できたというわけだ。この研究では通常の歯周治療がおこなわれており、特別なミラクル治療をしたわけではない。この数字を見て、だから歯周病になった歯で保存に疑問のある歯や望み薄の歯はさっさと抜いてインプラントだ、と考えるか、頑張ってできる治療をしてみましょう、と考えるか、ドクターにも患者さんにも人それぞれの思い、考えがあるだろう。
この最近の3年ほどで言えば、親知らずを除くと抜歯した歯は5本ほどだ。そのうち1本は歯周病に加えて、破折もあり痛みの再発をどうしても止めることができず、屈辱的な抜歯だった。
歯周病に罹患した歯の病気進行を抑制して、抜かなくてもよいように維持するのは難しい。治療として徹底的に歯のクリーニングをおこなった後でも、歯を磨かなければ48時間、つまり2日でクリーニング前と同じレベルにまで細菌数が戻るという報告もあるぐらいだから。どんな特別な、最先端技術の治療法がなされようとも、患者さんが家に帰ってキチンと歯を磨けなければ(「磨かなければ」ではない)歯周病という病気は、確実に動き出し得るのだ。

<心の重荷>

患者さんが遠く貝塚、和歌山や奈良などから来られると、医院としては有り難いと思います。しかし、ご自宅からこちらの医院までに数多ある歯科医院の数だけプレッシャーを受けてしまう。電車を乗り継いで、車で、時間をかけてまで何故来院してくれるのか。その理由を察するともの悲しい。
治療が難しい歯や残すのが困難な歯は、抜いてしまえばそれで終わるのだから、極端な話し、主要な治療は1回で終わる。それを治療して残そうとすると、時間や回数がかかるのは当然だ。幸いなことに症状がなくなっても、通常はハイおしまいという訳にはいかない。幼子を守るように手をかけなくてはいけない場合が多い。そうだ、、要するにずっと見守るの必要があるのだ。患者さんが不安に思う以上に、心配だ。通常は自覚症状が出る前に、患者さんが自覚する前に、治療する側は病気の悪化の気配を先に見てしまう。心休まる間がない。

<神業みたいなことはできない>

しかも、ひとつひとつこまめに見ないといけない症例を持った患者さんが増えれば、診察時間は手一杯になる。
すべての人に、十分満足してもらえる治療を確実に提供できるわけではない。
それでも希望されるのであればもちろん治療をする。病気を治すために、大学へ行き、そのために診療の場にいるのだ。しかし体一つ、両手合わせても二本。丁寧に治療をしようとすればするほど、受診を希望される患者さんが多くなると、時間が足りない。どうすればよいのか。明確な解決策はない。

<究極の理想>

私は理想論者ではない。が、理想はある。それは全ての病気が治せることではない。
治療しないといけない病気がない世界。
つまり、医者や歯医者などを必要としない世界だ。病気がないのだから、病院も医者や歯医者もいらない。
これはもう空想に近い世界だとは思うが、自分の考える究極の理想世界だ。せいぜいが、予防のための管理者(それも医者かな?)が存在する程度だ。「怖くて、嫌な歯医者さん」など消滅した世界!!

<現実〜悲しく辛いこと>

この世で生を受けた者の宿命として、老いや病気から逃れることはできない。
だからといって病気に対して、手をこまねいたままでいるわけではない。
手をこまねいたままでいるわけではないが、、、全てを一刀両断に解決できるわけでもない。
確実性が低い場合にでも頑張って治療することが本当によいのかわからない。

治療を受けるのは生身の人間なので、心がある。
治療をする側もロボットではなく人間なので、感情もある。
ましてや神様でもない。

何でも治せる魔法の杖があるわけではない。
私はわずかばかりの知識と浅はかな知恵を持って病気に対峙する。

全ての病気を治せるわけではない。これは悲しく辛い。
全ての人に満足してもらえる対応ができるわけではない。これも辛く悲しい。

続く→本音の独り言02「安心と信頼」

ドクターのつぶやき・・・・本音の独り言01 

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