小さいとき、小さな庭にはへちまが植えられていた。蔓が伸びるとすぐに実をつけた。そのへちまは時として、いや、しばしばとある場所に出現した。それは味噌汁の中である。理科の教科書にあるようなヘチマ水にはならず、お椀の中の具材になるのである。
中学生の頃、うちの家では味噌汁の具にヘチマが使われる、ということを友人に言ってびっくりされた。僕はず〜っと、へちまの味噌汁が大阪のどこの家でもある普通のことだと思っていたが、そうではなかった。両親は沖縄出身で、沖縄ではへちまの味噌汁は一般的な料理だと後に知ったのである。
少なくとも次回話題にする具材に比較したら雲泥の差、とびきり美味しい、という訳ではなかったが、十二分に食べられる食材であった。
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