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難しくてもちょっと知りたい最新の歯周病治療・歯周病研究 
論文紹介p066(no.291-295)


No.295
Periodontal disease as a risk factor for bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw.
Thumbigere-Math V1, Michalowicz BS, Hodges JS, Tsai ML, Swenson KK, Rockwell L, Gopalakrishnan R.
J Periodontol. 2014 Feb;85(2):226-33.

過去の症例報告と動物実験から歯周炎はビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)との関係が取りざたされている。このケース・コントロール研究は歯周病の臨床的およびレントゲン的診査とBRONJとの関連を評価するために企画された。
25人のBRONJ患者を48人のコントロールと対応させた。熟練した診査者が第三大臼歯を除くすべての歯において、プロービング深さ、臨床的アッタチメントレベル(CAL)、とプロービング時の出血が測定され、そして6代表歯の歯肉およびプラーク指数が診査された。歯槽骨の高さはオルソパントモグラフから計測された。ほとんどのBRONJ患者は実験開始時に抗生剤(84%)かクロルヘキシジン(84%)を用いていた。BRONJ患者とコントロールの補正比較は多重線形回帰を用いた。
ビスホスホネート(BP)注入の平均回数はコントロールと比較してBRONJ患者では有意に高かった (38.4 versus 18.8, P = 0.0001)。非調整解析では、BRONJ患者はコントロールと比較して、より多くの歯の喪失 (7.8 versus 3.1, P = 0.002)があり、より高い平均CAL (2.18 versus 1.56 mm, P = 0.047)と?3 mmCALの部位パーセンテージ (39.0 versus 23.3, P = 0.039)であった。そしてまた、BRONJ患者は低い歯槽骨レベル (as a fraction of tooth length, 0.59 versus 0.62, P = 0.004) があり、歯の長さの半分よりも低い骨レベルの歯が多かった(20% versus 6%, P = 0.001)。これらの差は年齢、性、喫煙とBP注入回数で補正した後にも有意差が残存した。
BRONJ患者はBP注入回数で補正した後には、コントロールと比較してより少ない歯数、大きなCALと低い歯槽骨レベルであった。抗生剤とクロルヘキシジン洗口使用における群の差は他の臨床測定値における差をみえにくくしているかもしれない。
(歯槽骨吸収、ビスホスホネート関連顎骨壊死、ジホスホネート、骨壊死、歯周病、歯周炎)
「BRONJ病巣から歯周病原性菌を含む細菌が検出されるとの報告がある。Prevotella、Porphyromonas、Fusobacterium、Peptostreptococcus、Streptococcus sp.、Eikenella speciesなどなど。あるいは別の報告では、Fusobacterium、Actinomyces 、Staphylococcus、Streptococcus、Selenomonas、Treponemes speciesなどからなるバイオフィルムがBRONJ部位の骨切片に存在することが示されている。歯周病はBRONJ発症に関与しているのか、それとも開放骨病巣に、結果として歯周病原性細菌がコロニー形成しただけなのか、どうだろう。
BRONJの発症と歯槽骨吸収との間に関連のあることが過去にも報告があり、重度歯周病の有病率がBRONJでは20%であるのに対し、非BRONJ患者では7.4%であったという。しかし一方で、歯周病がBP治療を受けている患者のBRONJに対するリスクを高めるわけではない、という報告もある。
口腔内の感染はBRONJリスクに影響を与えることが示唆されている。また多くの組織学的研究が、感染はBRONJ標本のほぼすべてに見られる所見であるとも指摘している。
BP注入の回数は有意にBRONJの進展と関連が見られている。BRONJリスクはBP開始から2年以内に始まり、BP治療の2年以降に4倍に増加するという。
BPを行う前に、予防的な歯科治療を受けるとBRONJの発生率が低下するという。わかるなら、BP使用前に歯周治療を含めて口腔内の感染源は可能な限り除去すべきなのだろう。」
(平成26年3月17日)


No.294
Vitamin E supplementation, superoxide dismutase status, and outcome of scaling and root planing in patients with chronic periodontitis: a randomized clinical trial.
Singh N1, Chander Narula S, Kumar Sharma R, Tewari S, Kumar Sehgal P.
J Periodontol. 2014 Feb;85(2):242-9.

この研究は慢性歯周炎(CP)患者の血清と唾液中のスーパーペルオキシドジスムターゼ(SOD)レベルを検索することである。加えて、ビタミンEサプリを伴う場合と伴わない場合に、スケーリングとルートプレーニング(SRP)の臨床成績における歯周パラメーターの変化に対して評価がおこなわれた。CP患者38人の血清および唾液SOD活性が22人の全身的および歯周組織の健康な被験者(コントロール群)と比較された。歯周診査時には、血清および唾液サンプルが得られた。CP患者は治療群1(TG-1)と治療群2(TG-2)に無作為に分けられた。SRPは両群で実施され、TG-2群は一日おきに200mg(300IU)のビタミンE摂取もおこなった。歯周パラメーターとSOD活性は3ヶ月後に評価された。SOD活性はSODアッセイと450nmで測定するエライザ法を用いて決定した。
血清 (P <0.05) と唾液(P <0.001)中のSOD活性はともにコントロールと比較してCP患者でより低かった。3ヶ月後のフォローアップでは、SOD活性は両治療群で改善したが、TG-2における改善はTG-1の改善を上回り、歯周パラメーターにおいてもより大きな改善がみられた。TG-2における血清SODレベルはコントロール群のレベルを上回るほどであった。
全身的および局所的SODレベルはCPで低下していた。付加的なビタミン栄養補充は抗酸化防御に加えて歯周組織治癒をも改善させる。
(抗酸化、スケーリング、歯周炎、活性酸素、ルートプレーニング)
「この論文では抗酸化物質SODが歯周炎でどう変化しているを検討しているが、目新しくもビタミンEのサプリメント付きだ。
侵入微生物に対する生体の貪食作用で用いられる酸化的殺菌だが、過剰な活性酸素は生体組織に為害作用があり、組織破壊を生じさせる。歯周病では酸化ストレスと抗酸化作用のバランスが崩れて、酸化ストレスが勝っていると考えられているが、これまの研究では結果がはっきりしない。今回の研究ではまずそれを確認している。その結果、抗酸化物質SODは唾液、血清ともに歯周炎患者で低下しており、歯周炎ではSODによる抗酸化作用が低下している可能性のあることが示された。う~ん、前回の論文とは結果がちょっと違うね。
歯周炎患者にSRPをおこなうと、炎症負荷が減少してその結果SOD低下が改善するのだ、というところも前回の論文とは異なる。
次はビタミンE、トコフェノールの効果について。ビタミンEは強力な抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンである。このビタミンEをSRP後の服用すると臨床パラメーターの改善が高められるという結果であった。この時血清中のSOD活性はビタミンE服用群では著しく高くなっている。これは局所の炎症消退とビタミンE服用の効果とが合わさったものだという考察がされている。一方、唾液中のSOD活性はというと、群間で有意差はない。もともと唾液中には少ない上に、脂溶性ビタミンなので唾液からは分泌されないからだろう、ということ。
さてビタミンEが何故臨床的に効果があるのか。抗酸化作用を高める。それもSOD活性だけではなく、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ活性の亢進も考えられるらしい。またビタミンEにはプロスタグランジンの産生抑制、亢炎症性サイトカインの抑制、C反応性蛋白の減少、フリーラジカルによるNFkB活性の抑制活性なども知られ、結果として炎症負荷の低減と歯周組織治癒改善が生じているのだろう、という考察であった。
近くのドラッグストアでビタミンEサプリメントを手にとってみた。一粒268mgで、一日一錠飲めという。これを飲めば、歯周病の治癒改善に効果あるのかぁ。」
(平成26年3月10日)


No.293
Salivary antioxidants as periodontal biomarkers in evaluation of tissue status and treatment outcome.
Novakovic N1, Todorovic T, Rakic M, Milinkovic I, Dozic I, Jankovic S, Aleksic Z, Cakic S.
J Periodontal Res. 2014 Feb;49(1):1

歯周炎における重要な病理的様式の一つは、フリーラジカル産生と局所の抗酸化の中でみられる両者のバランスの破綻であり、このことが歯周組織の破壊へとつながる。この研究の目的は非外科的歯周治療の影響が唾液の抗酸化物質に及ぼす影響を検索し、歯周組織状態と治療成績を反映するバイオマーカ-としての可能性を評価することである。
21人の歯周組織の健康な被験者(HC)21人と慢性歯周炎に罹患している42人の患者を含む、63人の全身的に健康な非喫煙者が組み入れ基準を満たした。患者の半数はスケーリングとルートプレーニング(SRP)を受け、残りの半数は口腔清掃指導のみを受けた。歯肉炎指数(GI)、プラーク指数(PI)、歯周ポケット深さ、臨床的アタッチメントレベルと唾液サンプリングを含む全顎の臨床診査がベースライン時と治療後2ヶ月でおこなわれた。総抗酸化能(TAOC)、アルブミン(ALB)、尿酸(UA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とグルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)が市販のキットを用いて唾液サンプル中で評価された。
全ての計測抗酸化物質は治療によって影響を受けており、SRPに反応してTAOC (p < 0.005)、ALB (p < 0.001)、UA (p < 0.001)とGPX (p < 0.001)は上昇し、SOD (p < 0.005)は減少していたが、その一方で口腔清掃指導群においてはいかなるパラメーターにも差は観察されなかった。HCとSRP群間の抗酸化レベルの比較から、治療前にALBはSRP群に比較してHCで有意に高い値を示し (p = 0.039)、GXP (p = 0.000)とSOD (p = 0.021)レベルはSRP群で有意に高い値を示した。治療後の値を比較すると、TAOCはSRP群よりもHCで有意に高い値を示した(p=0.001)が、UAは逆にSRP群で有意に高い値を示した(p = 0.034)。全ての臨床パラメーターはアタッチメントロスを除き、SRP後に有意に減少し、有意な関連がSODとGI (p = 0.017)、SODとPI (p = 0.011)、GPXとGI (p = 0.003)そしてGPXとPI (p = 0.008)で観察された。
非外科的な歯周治療は唾液TAOC、ALB、UA、SODとGPXに影響を与えた。さらにこれらの生物化学的パラメーターは説得力のある程度に、歯周状態と治療への組織反応を反映している。
(抗酸化、バイオマーカ-、歯周炎、総抗酸化、アルブミン、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、尿酸)
「酸化ストレス、抗酸化と歯周病というお題目は時々みられるテーマである。
反応性のフリーラジカルは細菌などの病原因子を駆逐するのに用いられる。抗酸化物質によって生体は局所の過剰な酸化ストレスが生じないように防御するが、酸化ストレスと抗酸化のバランスが崩れると、結果的に組織の破壊が生じる。歯周病でも唾液や歯肉溝浸出液中の抗酸化能が低下していて、これが歯周組織の破壊につながっているというのが、よく紹介されているイントロである。この論文も同様の論調だ。
抗酸化作用のある物質ALB、UA、GXPとSODに加えてTAOCを測定している。これらが歯周病では健常歯周組織のコントロールに比較して低下し、治療によって上昇するとなると筋書き通りなのだが、、、。治療の前後で、TBIだけでは変化しなかったこれらの抗酸化物質のうちSOD以外はSRPによって上昇している。ただしSODは逆に低下している。また歯周病患者ではALB、UAとTAOCがコントロールに比較して低い値を示すが、SODとGXPはむしろ高い値を示している。と、単純な結果ではなかった。過去の同様の報告でも相反するような結果がでていて、結果の解釈は素直にはいかない。
著者らはTAOCは歯周組織の状態を表していて、炎症の消退で上昇するマーカーで、SODは逆に炎症の増加で上昇するマーカーであると述べている。
抗酸化物質が歯周治療の前後で増加しても減少してもそれなりの解釈が可能だ。例えば治療によって抗酸化物質が上昇する結果が得られたとする。その時の考察は次のようにする。歯周病局所で酸化ストレスと抗酸化のバランスが破綻しているので、抗酸化能が低下していた。それが歯周治療によって宿主の防御反応が回復し、抗酸化物質が上昇して酸化/抗酸化バランスが改善するようになった。逆に抗酸化物質が低下した場合は次のようになる。炎症の強いときバランスが崩れているとはいえ、抗酸化物質は防御的に産生が亢進している。それが治療によって起炎物質が減少してくると酸化ストレスが減少するので、抗酸化物質の亢進が解除されて減少した、と考察する。どちらでもうまく言いくるめることができる。TAOCは前者、SODは後者として丸くおさまる。この論文では、抗酸化物質が歯周病の状態を表すバイオマーカ-で炎症状態に応じて変化するのだ、とかわしている。
さて、次回も歯周病/抗酸化の論文を読む。そちらでもSODを調べているのだが果たしてどんな結果だろうか。」
(平成26年3月6日)


No.292
Risk factors for the progression of periodontal attachment loss: a 5-year population-based study in South Brazil.
Haas AN1, Wagner MC, Oppermann RV, Rosing CK, Albandar JM, Susin C.
J Clin Periodontol. 2014 Mar;41(3):215-23.

この研究の目的はブラジル南部の都市部5年経過サンプルにおける、歯周アッタチメントロスに対する社会人口統計学的および行動性のリスク因子を評価することである。
ベースライン時1586人の被験者、14才以上、から層化多段無作為抽出方法を用いてデータが得られた。フォローアップ時、755人のうち653人の被験者が6本以上の歯を有して、解析に含まれた。修正重ポアッソン回帰が修正相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を計算するために用いられた。
総括すると、247人(37.8%)の被験者が4歯以上で3mm以上のPAL進行を示した。30才以上の被験者は若年者よりもPAL進行を有しおおよそ2倍以上の高いリスクがあった。低教育しか受けていない被験者は高学歴教育被験者と比較して53% PAL進行の高いリスク (RR = 1.53; 95% CI:1.06-2.22)があった。性別と喫煙間の有意な関連が認められた。非喫煙者内では、男性は女性よりも33%PAL進行が生じやすかった (RR = 1.33; 95% CI:1.06-1.66) 。喫煙者の中では、10パックイヤーあたり、男性に対してPAL進行が8%増加するリスクがあり(RR = 1.08; 95% CI:1.01-1.14)、女性に対しては 21% (RR = 1.21; 95% CI:1.11-1.33)であった。皮膚の色、社会経済的要因、歯科ケア、と糖尿病は統計学的な補正をおこなうとPAL進行と有意な関連を認めなかった。
社会人口統計学的因子と喫煙はブラジル人集団において、PAL進行に対して独立したリスク因子である。
(ブラジル、コホート、疫学、縦断的研究、歯周アタッチメントロス、歯周病、リスク因子、喫煙)
「歯周病との相互作用を指摘される糖尿病だが、アタッチメントロスの進行のリスク因子ではなかった。糖尿病被験者は非糖尿病被験者のPAL進行が生じることについて52%高いリスクがあった。しかし糖尿病被験者は今回の被験者のわずか5.2%でそれは自己申告によるものであった。ということで、糖尿病に関する所見は信頼性に欠けるようだ。
喫煙と性別に関連することについては、これまでに同様の指摘はないようだ。理由はわからない、とあっさり書いてある。いずれにおいても喫煙が破壊的な歯周病のリスク因子ではあるようだが。
年齢については過去の報告でも相反する結果がでている。今回は若年層より、30-49才や50才以上でアタッチメントロスのリスクは倍ほどあったのだが、年齢の高い群のリスクは同程度だった。アタッチメントロスが進行すると今度は抜歯となる可能性が高くなるからかも知れない」。
(平成26年3月2日)


No.291
Differences in peri-implant microflora between fully and partially edentulous patients: a systematic review.
de Waal YC1, Winkel EG, Meijer HJ, Raghoebar GM, van Winkelhoff AJ.
J Periodontol. 2014 Jan;85(1):68-82.

昨今のエビデンスから全顎無歯顎(FES)の患者と部分的無歯顎患者間で口腔細菌叢が異なることが示唆されている。インプラントが埋入されたときに、この所見がインプラント周囲の細菌叢に差となって現れるのかどうか不明である。この研究の目的はFESとPES間の粘膜下インプラント周囲細菌叢を比較する事である。
システマティックレビューがおこなわれた。MEDLINE、EmbaseとCochraneデータベースが2012年9月までの出版物に対して検索された。方法論的なバリエーションを少なくするために、FESとPESの粘膜下インプラント周囲細菌叢について同じ論文で報告している研究のみが選択された。
10研究を記載した11文献が選択された。選択した研究内に多くの差があったために、いずれのメタ解析も可能ではなかった。10研究のうち6研究は健康およびインプラント周囲粘膜炎状態において、粘膜下インプラント周囲細菌叢の組成にはFESとPES間に有意な差のあることを示していた。このときPESは潜在的に、より病原性のある組成を呈していた。しかしながら、細菌学的結果は研究間内で一致したものではなかった。
健康な、そしてインプラント周囲粘膜炎状態において、PESはFESよりも潜在的に、より病原性の強いインプラント周囲細菌叢を抱えている。現在のデータはインプラント周囲炎症例に関して、明確な結論をだすには不十分である。結局、メタ解析の欠落、細菌学的結果の多様性、そして利用できる研究の数が限定されること、のために現在のエビデンスは堅牢ではないように思える。
(デンタルインプラント、顎、無歯顎、細菌学、口腔、無歯顎、インプラント周囲炎、歯周疾患)
「培養法による細菌学的な検索では、天然歯を全て喪失した無歯顎口腔内粘膜にはPgやAaは検出されず、無歯顎患者のインプラント周囲にもPgやAaは存在しないとされていた。ところがその後、細菌学的な検出法にreal-time PCR法などが用いられるようになって、全歯牙喪失は歯周病原性菌の根絶には至らず、単に有意な減少でしかないことがわかってきた。
FESとPESを比較すると、プラーク量はFESの方が多いのにもかかわらず、PDやインプラント生存率には両者に差がない。これはプラーク量の少ないPESで病原性の高い細菌比率が高くなっているためではないかとの考察である。
幾つかの歯周病原性細菌がインプラント周囲炎疾患と関わっているようだが、細菌叢の組成がインプラント周囲炎疾患の原因なのか、結果なのかは未だ明らかではない。天然歯列において、歯周病原性細菌が単に存在するだけでも臨床的アタッチメントロスを引き起こすのかどうかについてもハッキリしないことが多い。Aaについては歯周病発症のリスクである、と同定された報告はある。歯周病と細菌との関連でもそんなもんだ。そして、インプラント周囲炎ではそのような細菌の存在とインプラント周囲炎の発症についての関連性がさらに明確ではない。想定されるような病原性細菌の存在が必ずしも組織破壊につながるわけでない、ことは明らかである。疾患の発症はもっと多因子的と思われるからだ。
天然歯が存在する場合、インプラントの細菌叢は埋入後2,3日で残存歯と同様の細菌叢を呈す。天然歯は病原性の高いと考えられる細菌叢の供給源であろう(検索された論文では残存歯の歯周病に関する情報が不足している!)。特に歯周病罹患歯ではそうだろう。それゆえFESの方がFESよりも高いリスクでインプラント周囲炎に罹患するのではないかと、著者らは考えている。
(平成26年2月25日)