<色々な相談事例1>

いつもどこか歯ぐきが腫れます。

 Aさんは、歯ぐきが時々はれていました。その時々にお薬をもらって、膿を出す処置を受けていました。歯石をとってもらい、歯を磨きなさい、と言われて自分なりに一生懸命歯を磨いていました。自分でも歯周病なんだろうなあ、と思っていましたが、磨いても治療を受けても、治っている気分はありませんでした。歯ぐきが何か、むずがゆいというか、気持ちわるいのです。
 転勤で大阪へこられ、当院へこられました。調べてみると部分的に進行した歯周病でした。気にしておられるので、歯ブラシは熱心にしておられましたが、調べるとプラーク(歯垢)が十分取りきれていません。細菌も多く認められました。どこがどんな風に磨けていないか、どう磨けばよいか指導しました。1回で全体のクリーニングを行うような歯石除去方法では対応できなかったので、あわせて歯垢を除去する治療を数回に分けておこなっていきました。
 膿がでることはなくなりました。ブラッシングも上手くなり、とらないといけない汚れが上手くとれるようになりました。Aさんの歯ぐきの不快感も改善しました。

歯がしみます。

 Bさんは歯がしみていました。歯がしみるのか、歯ぐきがしみるのか、自分でもよくわからないのですが、しみていました。全体がしみるような感じの時もありました。虫歯かなと思っていたのですが、虫歯はない、といわれました。
 Bさんは知覚過敏症を伴う軽い歯周病でした。歯周病にともない、歯の根が露出して歯の神経が過敏になることがあります。虫歯でなくとも、過敏症で歯のしみることがあり、不潔になるとしみやすくなること、過敏症のお薬で症状がなくなることが多いこと、場合によっては知覚過敏用の歯磨き粉が有効なことなどを説明しました。
 歯周病に対する処置と過敏症を抑制するお薬が奏効し、たまにしみることがありますが、以前のようにしみことはなくなりました。

歯ブラシの時に血がでます。でも別に痛くありません。

 Cさんは歯ブラシの時に出血がありました。でも出血があるのは普通のことだと思っていました。口臭があることを家族から指摘されたので、毎食後口臭予防の洗口剤を使っていました。歯槽膿漏用の歯磨きを使って磨くようにしていました。でも歯周病のことはあまり気にしていませんでした。
 Cさんの歯にはたくさんの歯石がついていました。虫歯で来院されたのですが、歯ぐきの炎症が強く、ちょっと歯ぐきに触れても出血するような歯周炎でした。虫歯の治療だけでなく、歯石をとる必要のあること、口臭は上手く磨けずに残った汚れ(細菌)のために生じていること、洗口剤や歯磨き粉よりも適切なブラッシングを行うことが重要であることを説明しました。そして、歯ブラシの使い方、歯並びの悪い部分のブラシの当て方、動かし方などの指導に加えて、歯間ブラシも併用して磨くように指導しました。
 歯ぐきの炎症は改善し、歯磨きの時の出血もなくなり、口臭もおさまりました。Cさんは歯磨きの時の出血は病気の現れであることを初めて自覚されました。

ブラッシングすると血がでるのが怖いです。

 Dさんは歯ブラシをするときの出血が怖くてそっと磨いていました。豚毛の歯ブラシでなでるように磨いていました。歯ぐきが悪いとはわかっていましたが、歯医者さんへいくのがいやでそのままにしていました。ある朝歯ぐきからの出血がたくさん出ているのに驚いて、意を決してやってこられました。
 Dさんはかなり進行した歯周炎でした。歯周炎は歯の周囲にある細菌が原因で歯ぐきに炎症が起こり、炎症が強くなると歯ブラシの刺激で出血が起こることを理解してもらいました。そして、歯に付いた汚れ(歯垢)を赤く染めて、持参してもらった豚毛歯ブラシで実際に磨いてみても、その汚れは取れないことを鏡や口腔内カメラで直接みてもらいました。さらに歯の汚れ(歯垢)にはたくさんの細菌が存在することを、顕微鏡でみてもらいました。Dさんは自分の口の中で、自分の歯にこんなも生きた菌がたくさんいることを見てびっくりし、歯ぐきが病気になるのも当たり前だと、納得されました。歯ブラシがあたると歯ぐきが痛いので、最初は痛くないような磨き方から始めました。
 ゆっくり地道に治療を開始し、時間はかかりましたが、何とかブラッシング時に出血がしなくなりました。ただ歯周病がかなり進行しているので、かなりぐらぐらの歯は長くは持たないかもしれない状態でした。でもできるだけ残せるように頑張りましょうと、治療を継続しています。

同じ場所でぷくっと歯ぐきがふくれて膿がでます。

 Aさんは歯ぐきが腫れている感じがしました。そんなにも痛くはないのですが、時々思いついたように血膿がでて腫れました。歯ぐきの腫れだから歯周病ではないかと思いました。歯医者さんでレントゲンをとってもらいましたが、何ともないと言われました。歯間ブラシを使って腫れているところをつつくようにすると余計にはれました。。
 Aさんの腫れは、たしかに歯周病もありましたが、根の先の病気もありました。根の中の細菌が増えて時々根の先に膿をつくっていたのです。冠を外して根の治療を行いました。ぷっくりふくれて膿ができるのはなくなりました。ただ、続けて歯周病の治療も必要でしたのであわせて治療を行っています。

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一言
痛みや違和感を訴えて来られる方が多いのですが、8、9割方はそれを解消あるいは緩和できていると思います。また歯を抜きたくない、という場合も何とか(場合によってはかなり苦しいのですが)とりあえず保存しています。しかし、私は「神の手」を持ち合わせているわけではありませんので、全ての症例で患者様の納得いく程度にまで対応できるわけではなく、痛みの取れない場合、どうしても抜かざるを得ない時や、診断のつかない場合もあります。また残した歯をずっと保証できているわけでもありません。その点はご承知置きください。→対応できない場合についてもご覧下さい。