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難しくてもちょっと知りたい最新の歯周病治療・歯周病研究 
論文紹介p028(no.101-105)

No.105
Effects of non-surgical periodontal treatment on clinical response, serum inflammatory parameters, and metabolic control in patients with type 2 diabetes: a randomized study.
Chen L, Luo G, Xuan D, Wei B, Liu F, Li J, Zhang J.
J Periodontol. 2012 Apr;83(4):435-43.


糖尿病(DM)患者による血糖コントロールは全身的な炎症と酸化ストレスの影響を受けることがよく知られている。これら全身因子に対する歯周治療の影響が血糖状態改善と関連しているかもしれない。この研究の目的は、2型DM患者における高感度C反応性蛋白(hsCRP)、酸化ストレスマーカーとしてd-8-iso prostaglandin F2a(d-8-iso)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2とMMP-9について、各因子血清レベルに対する非外科的歯周治療の影響を6ヶ月に渡り評価することである。
2型DMかつ中等度から重度歯周炎患者60人が、介入群(IG)とコントロール群(CG)にランダムに振り分けられた。IGはスケーリングルートプレーニング処置を受け、CGはベースライン時歯肉縁上の清掃処置を受け、6ヵ月後にスケーリングルートプレーニング処置を受けた。両群の被験者はベースライン時、1、3、と6ヵ月後に評価された。各受診時の歯周組織検査にはプロービング深さ、臨床的アタッチメントロス、プロービング時の出血、歯肉炎指数gingival indexが含まれた。血清糖化ヘモグロビンA1c(A1c)、hsCRP、d-8-iso、MMP-2とMMP -9のアッセイのために各受診時に血液が採取された。
hsCRP、d-8-isoとMMP-9に減少する傾向がみられたが、統計学的な有意差を示すには到らなかった。MMP-2レベルは歯周治療後も変化しなかった。
2型DMかつ中等度から重度歯周炎患者に対して、歯周病改善に効果的な非外科的歯周治療はA1cレベルを有意に改善させたが、hsCRP、d-8-iso、MMP-2とMMP-9については統計学的に有意差のある改善はみられなかった。

(私の感想など:DMと歯周病との関連で、この論文にある種々のマーカーを調べた背景は以下のようだ。
2型糖尿病でCRPなどの炎症マーカー上昇がみられる。また歯周炎と糖尿病との関連性を結びつけるメカニズムのひとつとして全身的な慢性の軽度炎症が考えられている。それゆえに歯周炎の存在とCRP上昇との相関が指摘されるのであるが、歯周治療をおこなってCRPが減少するかどうかについての介入試験はあまり報告がない。そこで、CRPを調べようとのことだ。
次は酸化ストレス(OxS)について。これは抗酸化能を超えて活性酸素種あるいはフリーラジカルが産生過剰するために生じる。このOsxがDMや歯周炎の病因と関連していることが考えられている。従ってOsXについて調べることには意義があるだろう。今回はOsX
マーカーとしてd-8-isoを用いて検討する。
MMPは組織リモデリングに関与する細胞外気質分解酵素である。もちろん骨吸収、骨の恒常性維持にも関与する。そのためにこれら酵素は組織破壊や歯周組織との関連メディエーターと考えられる。MMP-2とMMP-9はタイプIVコラゲナーゼである。歯周組織の炎症が上昇するとMMP-2は変化しないが、MMP-9は上昇することが報告されている。また歯周治療後についてもMMP-2は変化しないが、MMP-9は減少することがわかっている。つまりMMP-2はMMP-9の変化に対するよいコントロールとなるであろう、ということだ。DMについて言えば、メタボリックシンドロームやDMではMMPレベルは上昇し、このことがDMの合併症に大きく寄与するという。というわけで、MMP-9と対照としてMMP-2を採用。
介入試験で歯周処置を行うと、予測ではCRP、OsX、MMP-9は変化し(たぶん減少)、MMP-2は変化しないということだ。で、結果は上述のとおりで、論文のデータをみると有意差こそでなかったが、確かにCRP、OsX、MMP-9には減少傾向がみられており、MMP-2には殆ど変化がなく、ほぼ予測どおりの結果ではなかろうか。
A1cに対しては、この著者らは冷淡だ。A1cに有意差がなかったことに対して殆ど言及していない、no.104の論文の著者らが臍をかむ思いだろう。逆にhsCRPはno.104で有意差がでて、こちらでは有意差がでないというなんとももどかしいことだ。
歯周病の治療をして、歯周病が改善するのは当たり前だ。糖尿病についてもまたしかり。しかし、歯周病の治療をして、歯周病以外の全身疾患(ホットな話題の糖尿病)が変化を受けるというのは、微妙なことのようだ。
(平成24年4月21日)


No.104
Effects of non-surgical periodontal treatment on clinical response, serum inflammatory parameters, and metabolic control in patients with type 2 diabetes: a randomized study.
Chen L, Luo G, Xuan D, Wei B, Liu F, Li J, Zhang J.
J Periodontol. 2012 Apr;83(4):435-43.


慢性歯周炎の糖尿病に及ぼす影響について科学的エビデンスは未だ不十分かつ結論がでない状態である。この介入試験はタイプ2糖尿病患者において、歯周治療の臨床反応、全身的炎症パラメーター、とメタボリックコントロールに及ぼす効果を評価するためにデザインされた。
総数134人の患者が2つの治療群とコントロール群にランダムに割り当てられた。治療第一群はベースライン時非外科的歯周治療を受けて3ヶ月のフォロー時に追加の歯肉縁下デブライドメントをおこなった。治療第二群は非外科的歯周治療と3ヶ月フォローアップ時に歯肉縁上歯面清掃を行い、コントロール群は研究期間を通じて介入を受けなかった。全ての患者は1.5、3、と6ヵ月後に再評価を受けた。各受診時に、臨床歯周組織診査が行われ、高感度C反応性蛋白(hsCRP)、腫瘍壊死因子(TNF-α)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、空腹時血糖(FPG)と脂質プロファイルを評価するために、血液サンプルが採取された。
両処置群ともに歯周治療後にhsCRPが有意に低下した(P<0.05)。第二治療群でHbA1cが有意に減少していたが、治療後のHbA1c、FPG、TNF-α、と脂質プロファイルに対して群間の差は統計学的な有意差はみられなかった(P>0.05)。
非外科的な歯周治療は歯周組織と全身炎症状態を効果的に改善できる。強力なエビデンスにはなっていないが、いくつかの結果が糖尿病患者に対する歯周治療後に血糖コントロール改善を支持している。

(私の感想など:これまでにも言われていることだが、糖尿病と歯周病には双方向性がある。糖尿病だと歯周病が悪化しやすい。歯周病があると糖尿病の糖コントロールや合併症に悪影響を及ぼす。それで、歯周病治療をおこなうと糖尿病患者の全身炎症状態やメタボリックコントロールが改善する、との仮説がある。
今回の研究では歯周治療の後に歯肉縁下のデブライドメントと縁上の予防処置とをおこなって、両者の歯周臨床状態や糖尿病の状態への影響を検討している。その結果、両処置群間で歯周組織の各種臨床検査結果に差がなかった。ともに症状改善には寄与するがメインテナンス法による差がでなかったのである。過去にも同様の報告があるという。縁上の処置だけでも十分ということか。
また両処置群間で差がなかったが、歯周治療によりhsCRPの減少が認められたことから、歯周治療は糖尿病患者の全身炎症所見の低減、ひいては合併症リスクの低下に寄与すると考えられる。ところが、HBA1cは臨床変化やhsCRPと同様の変化はしなかった。また空腹時血糖もしかり。これは著者らの期待はずれだったようだ。考察では、対象とした歯周病が重度でなかったから、あるいはHbA1cが過去90日の平均血糖レベルを反映しているから、かも知れないと述べている。
歯周病と糖尿病との関連メカニズムにTNF-αの関与がよく語られている。今回の研究では群間でも、処置前後や処置後の経過でもTNF-α値に差のある変化はみられなかった。またこの著者らは、以前のクロスセクショナルな研究でも、歯周組織の炎症がTNF-α値に影響することはなかったと述べている。そのために歯周組織の感染炎症によってもたらされるTNF-α上昇は、歯周病が糖尿病に及ぼす悪影響にはほとんど関与していないのではないかと考察している。
歯周治療の糖尿病への影響はなかなかすっきりしない。)
C-研磨反応性タンパク、糖尿病、歯周炎、腫瘍壊死因子
(平成24年4月16日)


No.103
Randomized Controlled Trial Assessing Efficacy and Safety of Glycine Powder Air Polishing in Moderate-to-Deep Periodontal Pockets.
Flemmig TF, Arushanov D, Daubert D, Rothen M, Mueller G, Leroux BG.
J Periodontol. 2012 Apr;83(4):444-52.


歯肉縁上に適応されるグリシンパウダーエアーポリッシング(SupraGPAP)は浅い歯周ポケットでもバイオフィルムを除去できることが示されている。この研究はグリシンパウダーエアーポリッシング(SubGPAP)を中等度から重度歯周ポケットで歯肉縁下に応用した時の効果と安全性について検討する。
初期治療を終了し、口腔内でPorphyromonas gingivalis(P.gingivalis)とTannerella forsythiaの存在する慢性歯周炎に罹患した患者が、プロービング深さが4-9mmに対してSubGPAP治療、他の全ての浅い歯周部位にSupraGPAP、と口腔粘膜をグリシンパウダーポリッシングを行う群(full-mouse GPAP)あるいはキュレットを用いてスケーリングルートプレーニングに続いて歯冠研磨(SRP)を受ける群とにランダムに割り当てられた(HP管理者注:雑誌英文には誤りがあると思う)。患者はデブライドメントの後、1日二回2週間0.12%クロルヘキシジングルクロネイトで洗浄した。
登録された30人全ての患者が、ベースライン時、10日、と90日後の診療を受けた。
SubGPAPは、デブライトメント直後と10日後にSRP処置と比較して中等度から重度の歯周ポケットで総生細菌数が有意に低かった(p<0.05)。口腔内総P.gingivalis数は、90日後SRPと比較してフルマウスGPAPの後に有意に減少していた。患者の快適性レベルは両処置群ともに高かった。フルマウスGPAPに関係した有害事象はみられなかった。
本研究結果から、SubGPAPは中等度から重度歯周ポケット内の歯肉縁下バイオフィルムの除去効果がSRPに比較してより高いことが示された。さらに、フルマウスGPAPにより口腔細菌叢が有益な菌叢に移行し、処置は十分許容的であると思われる。
(私の感想など:3から5mmのポケットであれば、98%に到る総菌数の減少がみられ、キュレットを用いたSRPよりも除去程度が有意に高いという。4mm以下であれば、歯肉縁下バイオフィルムの殆どを除去する効果があるという。
エアーポリッシングの利点は摩損性の低さである。グリシンパウダーを用いることでこの摩損性はさらに低くなるという。最近エアーポリッシング用の機器(エアーフロー プロ:EMSエレクトロ メディカル システムズ)の先端ノズルが改良されて細くなり(厚み0.7mm)、5mm以上のポケットへの有効性が示唆されるデータでている(Moene 2010)ので今回の臨床試験をおこなったようだ。
細菌学的な検索ではSRPと同等かそれ以上。ただし90日後では歯肉縁下の細菌総数にGPAPとSRPに差はなくなっている。そのためか、臨床データにもテスト群とコントロール群には有意差がない。臨床的にはSRPに劣らない効果ということ。
このGPAPでは歯石は除去できない。しかし歯肉縁下の細菌数は減少するので歯石の除去なしに歯肉縁下バイオフィルム除去効果があるという解釈だ。
歯肉縁下のGPAP作業時間は、1箇所0.5分なのに対してSRPは1.4分。時間効率としてはGPAPの方が上だとアピールしている。
患者の不快な症状もSRPと同程度で3症例で気腫が生じたが2、3日で自然に改善したと述べている。
臨床で用いるのに、効果的で、患者にも快適で、処置時間も短いとなれば言うことないよね。他研究でも追試があるだろうか。ただ、操作性やコスト面からはどうだろう、とは思う。)
研磨、スケーリング、ルートプレーニング、歯周疾患、歯周炎
(平成24年4月16日)


No.102
Association between oral bisphosphonate use and dental implant failure among middle
-aged women.
Yip JK, Borrell LN, Cho SC, Francisco H, Tarnow DP.
J Clin Periodontol. 2012 Apr;39(4):408-14.


本研究の目的は経口ビスフォスフォネート治療とデンタルインプラント失敗の関連について検 討することである。
ケースコントロール研究で1997年1月か ら2004年12月の間でニューヨーク歯科大学歯周病インプラント歯科部門で施された1181インプ ラント症例、40歳以上337人の女性患者が対象となった。ケース群は1ないし複数のインプラント 失敗症例の女性と定義し、診療科のデータベースから同定された。コントロール群は各症例に対してランダムに選択された。調整オッズ比は、一般化推定方程式を利用して適応させたロジスティック回帰モデルにより評価された。
選択された共変量に対して調整した後、インプラント失敗女性の経口ビスフォスフォネートのオッズは、インプラントが失敗していなかった女性に比較すると2.69倍高かった(95%信頼区間(CI)、1.49-4.86)。有意な関連は認められなかったが(p=0.41)、層別解析から経口ビスフォスフォネート使用とインプラント失敗との関連は、下顎(オッズ比 [OR] = 1.38; 95% CI, 0.51-3.73)に比較すると上顎(OR= 2.60; 95% CI, 1.36-4.96)で強かった。
この研究所見から、開業医は経口ビスフォスフォネート使用と関連してインプラント失敗リスクが高まることを認識すべきである、と示唆される。

(私の感想など:ビスフォスとの関連では抜歯や歯周外科ではすでに指摘されている。
インプラントについては関連ありとも関連なしても両方報告がある。
本研究ではインプラント施術直前にビスフォスは服用を中止している。またインプラント失敗とはオッセオインテグレイトが生じなかった場合、動揺が続いて除去に至った場合としている。
コントロール群に比較してケース群では一人あたりのインプラン施術本数が多かったようだ。しかし失敗症例比率は変わらないと述べ、そのことの影響はないのではと考察している。
今回の研究は後ろ向き研究で、ビスフォスの服用期間データが得られていない。服用期間がインプラント失敗に及ぼす影響については気になるところだ。またインプラント施術時直前に服用を中止しているようだ。)
インプラント、疫学、ビスフォスフォネート、予後成績、回帰モデル、女性
(平成24年4月15日)


No.101
Azithromycin in periodontal treatment: more than an antibiotic.
Hirsch R, Deng H, Laohachai MN.
J Periodontal Res. 2012 Apr;47(2):137-48.


アジスロマイシンは上気道感染、中耳感染、性感染症やトラコーマなどの感染症治療に幅広く用いられるマクロライド系の抗生剤である。そして、共通の歯周病原性菌のほとんどに対しても効果的である。マクロライド系の作用多様性は、この薬剤の抗生剤としての特性を超えて、しばしば報告される免疫調整性/免疫制御/抗炎症作用にまで及ぶことにある。アジスロマイシンを含むマクロライド系はそれゆえ重度喘息、慢性の閉塞性肺疾患、特に最近では嚢胞性線維症などの、細菌とは関連性のない疾患の治療に用いられる。アジスロマイシンは好中球、マクロファージと特に線維芽細胞に集積される。これら全ての細胞は歯周疾患の多くで発病機序において中心的な役割を果たしている。この論文では、アジスロマイシンの多様な特性と、歯周炎治療と薬剤関連歯肉増殖の解明における効果を検討した歯周病学的臨床研究をレビューした。進行性の歯周炎治療でアジスロマイシンのシングルコースの使用を支持するエビデンスが存在する。アジスロマイシンは歯周病の治療と炎症消退で三つの役割を果たすようだ。3錠のシングルコース服用の後であっても、歯周病原性菌の抑制、抗炎症活性、と歯周組織におけるマクロファージや線維芽細胞により低濃度レベルに維持されて治癒に関与することだ。もし将来、歯周病研究がこれらの特性を確認できれば、歯周治療における宿主修飾薬剤として有用となるかもしれない。
(私の感想など:スケーリングルートプレーニングの補助的治療として抗生剤投与がある。アモキシシリン+メトロニダゾールがゴールドスタンダードと考えられているが、アジスロマイシンもまた有用だとする報告がある。このレビューではアジスロマイシンの特徴として、抗菌作用とそれ以外の特性に着目している。以下興味あるところを抜粋した。
マクロライド系抗生剤アジスロマイシンは1980年に初めて合成された。アジスロマイシンはエリスロマイシンの半合成アナログで、その前身薬剤であるエリスロマイシンに対してグラム陰性病原性菌に対する抗菌性を高めた薬剤である。アジスロマイシンは、構造的に安定で、組織浸透性にすぐれ、低毒性であり、さらに68時間という長い半減期を有する。
摂食前に1日500mgを3日間服用するのが通常のレジメである。患者の服用コンプライアンスは良好で副作用の発生頻度も低いのが特徴である。もちろんエリスロマイシンにアレルギーのある患者については投与すべきでない。知られている副作用としては悪心、腹痛、下痢などであり、まれに重篤なアレルギー反応が生じるようである。薬剤相互作用として、antacid:制酸剤、ワーファリン(作用を増強)、ジゴキシン、エルゴット誘導体などがある。
グラム陽性菌、グラム陰性菌、歯周病原性菌であるAggregatibacter actinomycetemconitans、Porphyromonas gingivalisなどを含めてグラム陽性、陰性菌に有効だ。通常バイオフィルム内の細菌は抗生物質から防護されていると考えられているが、他のマクロライド系やエリスロマイシンとは異なり、アジスロマイシンはバイオフィルムバリアを越えて浸透するので、バイオフィルム内の細菌に対してより効果的な抗細菌作用を発揮しうる。
スケーリング、ルートプレーニングの後には90%菌血症となるが、治療前に服用することで20%にまで低減する。
歯肉溝浸出液中には血清レベルの40倍以上の濃度を示す。7日後であっても歯肉溝浸出液中には、P.gingivalis、Prevotella intermediaとP. intermediaに対するMICを超える濃度が維持されているという。これは組織中の細胞にアジスロマイシンが積極的に蓄積されているためだと考えられている。
P.gingivalisは感受性があったが、33%のA.actinomycetemcomitansは抵抗性だったとの報告があったり、アジスロマイシンを用いた後ではアジスロマイシン抵抗性streptocoociの増加などが報告されるようである。
アジスロマイシンには抗菌作用の他に炎症の低減、好中球やマクロファージ機能およびサイトカイン産生の制御から線維芽細胞活性や免疫機能の修飾に至るような性質がある。アジスロマイシンは好中球の前駆細胞にもとりこまれるので、健常人で服用後28日間も好中球内に存在するようである。
歯周治療への応用は1996年に初めて報告された。細菌学的な検索では、14日後でも炎症歯周組織で、P.intermediaやA.actinomycetemcomitansに有効な濃度が維持されるという報告がある。
アジスロマイシンの特徴をまとめると、1.グラム陰性菌に効き、バイオフィルムに浸透し、半減期が長い。2.好中球とマクロファージによってアジスロマイシンは取り込まれ、歯周炎症組織に集積し抗炎症作用を発揮する(亢炎症性サイトカイン産生の抑制)。3.アジスロマイシンは歯周組織に対して長期間の組織治癒を促す。
こうやってみると良いことずくめに聞こえるが、著者らがひいきするようにホントに、あらゆるタイプの歯周病に対しても有効なのかは、今後のさらなる研究を待たねばいけないように思える。)
アジスロマイシン、歯肉増殖、歯周炎、歯周治療
(平成24年4月8日)



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