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難しくてもちょっと知りたい最新の歯周病治療・歯周病研究 
論文紹介p043(no.176-180)

No.180
Effect of a chlorhexidine mouthrinse on plaque, gingival inflammation and staining in gingivitis patients: a systematic review.
Van Strydonck DA, Slot DE, Van der Velden U, Van der Weijden F.
J Clin Periodontol. 2012 Nov;39(11):1042-55.

この研究の目的は歯肉炎患者におけるクロルヘキシジン(CHX)マウスリンスのプラーク、歯肉炎とステインへの影響を系統的に評価することである。
Medline、EMBASE と Cochrane Central Register of Controlled Trialsが2011年4月まで検索された。CHXとプラセボ/コントロールマウスリンスあるいは口腔清掃(OH)を4週間以上で比較したランダム化コントロール臨床試験 が抽出された。
1355タイトルの中で、30論文が選択基準を満たした。メタ解析(MA)はCHXが有効であるという加重平均差(WMD)を示した。これはSilness & Loeプラーク指数に対して-0.39 [95% CI: -0.70; -0.08]、Plaque-Index Quigley & Hein (PIQH)のプラーク指数に対して-0.67 [95% CI: -0.82; -0.52]、歯肉炎指数に対して-0.32 [95% CI: -0.42; -0.23]、GIの出血に対して-0.08 [95% CI: -0.10; -0.05]、乳頭部出血指数に対して-0.21 [95% CI: -0.37; -0.04]、辺縁プロービングの出血に対して-0.16 [95% CI: -0.26; -0.07]、そしてLoebene ステイン指数に対して0.91 [95% CI: 0.12;1.70]であった。著者評価のバイアスが低い研究のMAは、PIGHに対して -0.68 [95% CI: -0.85; -0.51] 、とGIに対して-0.24 [95% CI: -0.29; -0.20]のWMDというCHXの有効さを示していた。コントロールと比較すると、CHXはプラーク減少が33%、歯肉炎に対する改善は26%であった。CHXリンス群はステイン着色の有意性を示していた。
歯肉炎患者では、プラセボあるいはコントロールマウスリンスに比較して、CHXマウスリンスはプラークと歯肉炎スコアを有意に減少させたが、ステイン指数は有意に増加した。
(クロルヘキシジン、歯肉炎、マウスリンス、プラーク、システマティックレビュー)
(この論文の考察や私の感想など:クロルヘキシジングルクロネイトは、プラークコントロールや歯肉炎に対して欧米などで最も広く使用されている抗菌剤の一つである。これまでにプラーク形成の予防やコントロールに効果的で、歯肉炎の進展を抑制することが知られ、安全で安定だとイントロでは紹介されている。
つらつらと面白そうなコメントを抜き書きしてみる。通常の口腔清掃なしの場合に、0.2%CHX溶液10ml(つまり20mg)で60秒一日2回使用することでプラーク再形成をおおよそ60%、歯肉炎の重症度を50から80%抑制する可能性のあることが示されている。CHXは殺菌および静菌的で口腔内で12時間までも高い持続性を有する。CHXは組織への結合が強いために、消化管からの吸収がほとんどなく、それゆえ全身への毒性も低くなる。口腔内の長期使用でも血中レベルの検出は認めらられない。CHXは細菌の抵抗性に加えて、日和見感染などによる二次的な感染も生じない。最も共通の副作用は、長期使用による歯や舌の外来性の茶色い色素沈着である。歯石沈着も副作用であり、これは歯の表面、ペリクル上に無機塩を沈澱させるためと推測されている。
アルコールベースの0.12%CHXマウスリンスがFDAから認可されている。一方、ヨーロッパでは0.2%濃度で最もよく使用されている。CHXの副作用を少なくするために0.12、0.1、0.06、0.05%%なども市販品としては出回っているようだ。それらの濃度如何にかかわらず、CHXはプラーク抑制効果や歯肉炎に対する改善効果を示す。
CHXは一日におおよそ20mgという量が最適(副作用と効果のバランスからも)という。つまり、0.2%10mlCHX(=20mg)と0.12%15ml(=18mg)ではその効果はほとんど変わらないようだ。ただし、0.2%と0.12%CHX使用では、その差は小さいがプラーク抑制、歯肉炎改善に有意差はあるとの最近のシステマチックレビューが報告している。また低濃度CHXのプラーク抑制効果は濃度依存的で、効果は低くなるかもしれないが、コントロールと比較して有意差があるという。0.06%でもプラーク抑制効果のあることが報告されている。
さて日本では0.12や0.2%濃度のCHXは粘膜に対して使用できない。しかし、グルコン酸クロルヘキシジン配合のマウスリンスがサンスターやウエルテックから販売されている。ウエルテック社のコンクールFをメーカーが指定する使用法に従って希釈すると、その使用時CHX濃度は最も薄い濃度が約0.0001%となり、濃い濃度は0.0006%となる(ゼロの数を間違えているわけではない)。)
(平成24年12月9日)


No.179
Whole mouth antimicrobial effects after oral hygiene: comparison of three dentifrice formulations.
Fine DH, Sreenivasan PK, McKiernan M, Tischio-Bereski D, Furgang D.
J Clin Periodontol. 2012 Nov;39(11):1056-64.

この研究は3種類の市販歯磨剤処方の抗菌効果を比較した。すなわち、フッ化ナトリウム/トリクロサン/コーポリマー(TCN/C)、フッ化第一スズ/ヘキサメタリン酸ナトリウム/乳酸亜鉛(SnF(2)/SHMP)とフッ化ナトリウム(NaF)の3種類である。
35人の成人(男性15人と女性20人、平均33歳でポケットは5mm以内)がこの二重盲検、トリプルクロスオーバーで研究に参加した。洗口後、プラーク、唾液、舌と頬粘膜の4部位からベースラインサンプルが回収され、6菌種つまり嫌気性菌、ストレプトコッカス、アクチノマイセス、硫化水素(H(2)S)産生菌、フソバクテリア、ベイヨネラに対する評価がなされた。各歯磨剤が13日間毎日2回の使用でランダムに割り当てられた。14日後、ブラッシングの後12時間、細菌学的な評価のためにサンプルが回収された。最初の割当とは異なった歯磨剤が同一のプロトコールで実験された。
全ての口腔4部位と各部位で評価された6菌種に対して、TCN/Cは他の処方に比較して有意な減少をしめした(p<0.01)。 SnF(2) /SHMP群はNaF群に比較して24の結果のうち14に対して14ー43%の有意な減少を示し (p<0.01)、10の結果には有意差はなかった。
TCN/C歯磨剤処方は、ブラッシング後12時間でフッ化ナトリウムあるいは SnF(2) /SHMP歯磨剤処方に比較して、異なる口腔内の部位において細菌の有意な減少がみられた。
(細菌、ブラッシング、頬粘膜、デンタルプラーク、歯磨剤フッ化物、唾液、フッ化第一スズ/ヘキサメタリン酸ナトリウム/乳酸亜鉛、舌、トリクロサン/コーポリマー)
(論文の考察や私の感想など:トリクロサンは抗菌作用のある物質で、イルガサンDP300とも表記されハンドソープや化粧品などにも添加されている。トリクロサン含有歯磨剤はプラーク抑制効果を示す報告が過去にもなされている。この薬剤には持続性があり、使用後口腔内では少なくとも3時間、プラーク内では少なくても8時間後まで検出可能だという。
ここでは用いられている歯磨剤は、Colgate-Palmolive社のcolgate total(TCN/C)、Procter & Gamble社のCrest Prohealth(SnF(2)/SHMP)、そしてコントロールに同じP&G社のCrest cavity protection(NaF)である。
日本のスーパーや薬局でコルゲートの歯磨きにお目にかかることはほぼない。昔小さい頃にみたことがあるような気がする。
SNFはプラーク、唾液、舌、頬粘膜全てのサンプルで嫌気性菌、streptococcus、actinomycesの有意な減少とプラークと舌で硫化水素産生細菌の減少がみられたが、VeillonellaとFusobacteriumの減少はみられなかった。一方のTCN/Cはプラーク、唾液、舌、頬粘膜全てのサンプルで6分類菌種全ての有意な減少がみられている。
気づいた人もいるだろうが、プラークはブラッシングの対象物だが頬粘膜や舌は別にブラッシングとは直接関係のない場所だ。それでもサンプル中の細菌減少がみられる。プラーク除去は被験者のブラッシング技術に依存する部分も大きいので、ブラッシングとは直接関係のない場所についても検索対象とした、というのが著者らの一ひねりだ。そしてそんな場所に存在する細菌にも影響を与えるようだ。
トリクロサンの問題はその安全性だろう。この論文ではその安全性については触れられていないが、ある種の条件下でダイオキシンに変化しうるだとか、トリクロサン自体に生体への有害性が取りざたされている(no141参照)。
日本の歯磨剤シェアをみると2005年の調査で、ライオン、サンスター、花王の三社が2/3以上を占めている。日本の有名メーカーで、このトリクロサンを歯磨剤に配合している製品がある。別の有名メーカーには配合されていないので、会社によってこのトリクロサンの扱いが明確に異なるように思える。
この論文の結論はコルゲート社製トリクロサン配合歯磨剤の細菌抑制効果が、P&G社製他の処方歯磨剤よりも高かったということだが、蛇足的にいうと、論文の著者の一人はコルゲート社所属である。)
(平成24年12月3日)


No.178
Elevated levels of salivary lactoferrin, a marker for chronic periodontitis?
Glimvall P, Wickstrom C, Jansson H.
J Periodontal Res. 2012 Oct;47(5):655-60.

全唾液は口腔硬および軟組織の健康維持に必要な複合混合液といえる。唾液は感染物質から口腔生態系を防御する数多くの抗菌蛋白までを含む。慢性歯周炎は歯の支持組織に影響を与え、その破壊につながる感染性慢性炎症疾患である。この研究の目的は歯周疾患の存在する被験者と、存在しない被験者における唾液中ラクトフェリンの濃度差を検索し、これらの評価を歯周病と関わる臨床変数と関連づけることである。
刺激全唾液が慢性歯周炎被験者17人と歯周組織の健康な被験者17人から採取された。プロービング時の出血、プロービング深さと水平骨吸収に関するデータが評価登録された。刺激全唾液中のラクトフェリン、リゾチームとIgA濃度がエライザ法にて定量された。
慢性歯周炎被験者は健常コントロール被験者に比較して、全唾液中のラクトフェリン濃度が高い値を示していた(p<0.05)。ラクトフェリンの唾液濃度はプロービング時の出血(p<0.001)とあるいはプロービング深さが6mm以上の部位数(p<0.001)と正の関連を示した。
慢性歯周炎患者の刺激全唾液中でラクトフェリンは上昇し、6mm以上のプロービング深さと関連している。
(歯周病リスク因子、唾液、サイトカイン)
(論文の考察や私の感想など:ラクトフェリンは唾液中に45種類以上ある抗菌物質のうちのひとつである。唾液以外にも涙、初乳、母乳などに見いだされる。
炎症性腸疾患では糞便中のラクトフェリンが疾患の活動マーカーとして有用らしい。歯周病においても唾液中のラクトフェリンが同様に疾患マーカーとして利用できないかというのが、今回の研究のひとつのテーマである。
刺激全唾液中のラクトフェリンはCPで上昇し、治療により減少するという。CPで上昇したラクトフェリンの由来は唾液腺からであろうと考察する。というのも歯肉溝浸出液量と唾液量との相対的な差が大きいこと、また侵襲性歯周炎では全あるいは耳下腺唾液のラクトフェリン量が増加しているという報告もあることから歯肉溝浸出液ではなく唾液腺にその由来を求めるのが自然だと述べている。
唾液中のラクトフェリンはBOP+の割合や6mm以上の歯周ポケット部位数などとの相関が認められている。6mm以上の歯周ポケットの残存部位数は疾患の進行や歯の喪失に対するリスクと関連しているので、唾液中のラクトフェリン濃度は疾患進行のマーカーとして機能するかも、と考察している。
でも、それなら歯周ポケットを調べればいいのじゃないか、とは言わない。)
(平成24年12月1日)


No.177
Mucositis, peri-implantitis, implant success, and survival of implants in patients with treated generalized aggressive periodontitis: 3- to 16-year results of a prospective long-term cohort study.
J Periodontol. 2012 Oct;83(10):1213-25.
Swierkot K, Lottholz P, Flores-de-Jacoby L, Mengel R.

この前向き研究の目的は、侵襲性歯周炎(GAgP)に対する治療を受けた、部分的無歯顎被験者と歯周組織の健常な被験者を対象に、インプラント粘膜炎、インプラント周囲炎の罹患率、とインプラント成功率を評価することである。
オッセオインテグレイトインプラント治療で口腔機能を回復させた被験者で、GAgPに対する治療を受けた35人と歯周組織の健常な18人がこの研究に参加した。被験者は最初に、保存できない歯の抜歯前の2から4週間(ベースライン)および最終アバットメントの挿入後3週間に診査がおこなわれた。5から16年間にわたり(平均8.25年)3ヶ月リコールスケジュール期間に追加の診査がおこなわれた。各セッションに、臨床パラメーターが記録された。上部構造の構築後1、3、5、10と15年に細菌学的およびレントゲン的診査がおこなわれた。
インプラント生存率は、歯周組織が健常な被験者では100%であったのに対し、GAgP患者では96%であった。インプラント成功率はGAgP患者で33%であり、歯周組織の健康な被験者は50%であった。GAgP患者では、インプラントの56%がインプラント粘膜炎に罹患し、26%がインプラント周囲炎に罹患していた。歯周組織の健康な被験者では、インプラントの40%が粘膜炎を呈し、10%がインプラント周囲炎であった。GAgP患者はインプラント不成功リスクが5倍、粘膜炎リスクは3倍、インプラント周囲炎リスクが14倍であった。
これらの結果から、治療を受けているGAgP患者は粘膜炎とインプラント周囲炎に罹患しやすく、インプラント生存率や成功率は低くなる可能性が示された。
(侵襲性歯周炎、歯科インプラント、粘膜炎、インプラント周囲炎、生存率)
(論文の考察や私の感想など:論文のイントロを少し紹介しよう。
インプラント粘膜炎と周囲炎の罹患率は63%および43%に達するとの報告がある。どのような因子がインプラント周囲組織炎症に関わっているかは未だ明瞭ではない。過去に歯周炎の既往がある人、特に侵襲性歯周炎患者では、口腔内細菌に対する防御が弱いのではないかと考えられる。5年の後ろ向き研究では、歯周組織が健常な人と慢性歯周炎患者ではインプラント喪失率がそれぞれ3.3%と8%との報告がある。さらに、10年の前向き研究では、慢性歯周炎と歯周組織健常者では、インプラント存在率が90.5%と96.5%とインプラント成功率(不成功はBOP+でプロービング深さが5mm以上)が71.4%と94.5%という、同様の結果を示す報告がある。
インプラントの”成功””不成功”の定義は色々だ。この論文でいう成功はなかなかストリクトだ。1)インプラントの動揺がないこと 2)痛みや違和感など不快な症状がないこと 3)BOPがなくPD5mm以下 4)レントゲン的透過像のないこと 5)上部構造の構築1年後1年の骨吸収が0.2mm以下 以上の基準を1つ以上満たすと不成功と考えるのだ。そうするとGAgPでは60%以上が失敗となり、GAgPのインプラントは健常者の5倍の不成功リスクがあり、インプラント周囲炎リスクは14倍だった。
今回の結果から歯周病がインプラントの予後に影響を与えるのは明らかで、インプラント粘膜炎、インプラント周囲炎、インプラント周囲の骨吸収は、特にGAgPでは避けがたいとまで述べている。ただリコールシステムに参加することでそれらの進行に抑止がかかる可能性があるとも述べている。)
(平成24年11月27日)


No.176
Effect of scaling and root planing on interleukin-1β, interleukin-8 and MMP-8 levels in gingival crevicular fluid from chronic periodontitis patients.
Konopka L, Pietrzak A, Brzeziska-Baszczyk E.
J Periodontal Res. 2012 Dec;47(6):681-8.

慢性歯周炎患者からの歯肉溝浸出液中における、免疫および炎症メディエーターレベルに及ぼすスケーリングルートプレーニングの影響に関するデータは数少ない。それゆえ、この研究では臨床パラメーターと関連して、慢性歯周炎患者からの歯肉溝浸出液におけるインターロイキン(IL)-1β、IL-8とMMP-8の量に対する影響が判定された。
この研究では51人の被験者がリクルートされた。広汎型進行性慢性歯周炎患者30人と歯周組織が健康な21人の被験者がコントロールとしてリクルートされた。臨床パラメーターには隣接面プラーク指数、歯肉指数、ポケット深さとアタッチメントロスが選択された。歯肉溝浸出液中のIL-1β、IL-8とMMP-8はエライザ法で測定された。歯肉溝浸出液中の液性因子量とともに歯周組織パラメーターが、コントロール群と慢性歯周炎患者群で、ベースライン時、スケーリングルートプレーニング治療後1および4週に評価された。
ベースライン時、コントロール被験者と慢性歯周炎患者間には、臨床的アタッチメントロス、ポケット深さ、歯肉炎歯数(p<0.001)と隣接面プラーク指数(p<0.01)に関して有意差が見られた。 歯肉溝浸出液中のIL-1β、MMP-8 (p<0.001) と IL-8 (p<0.01)量は慢性歯周炎患者に比較して健常者で有意に低い値を示した。スケーリングルートプレーニングを行うと、臨床的アタッチメントロスを除き、検索した全ての臨床パラメーターで改善がみられた。また、歯周治療をおこなうとベースライン時に比較して、特にスケーリングルートプレーニング後4週でIL-1β、 IL-8とMMP-8は有意に減少した (p<0.001)。しかしながら、これらの液性因子量はコントロール群に比較すると以前高い値を示していた。
我々の結果から短期の非外科的歯周治療は歯周組織指数の有意な改善と歯肉溝浸出液中のIL-1β、IL-8とMMP-8レベルを著しく減少させることが明らかとなった。それにもかかわらず、臨床パラメーターと治療後の液性因子量との間に有意な関連は認められなかった。
(インターロイキン1、インターロイキン8,MMP-8、スケーリングルートプレーニング)
(論文の考察や私の感想など:IL-1βでは健常:15.5±14.0 慢性歯周炎ベースライン(以下CP0)72.5±37.0、慢性歯周炎1週(以下CP1)57.2±26.0、慢性歯周炎4週(以下CP4) 34.1±13.9、IL-8では健常11.3±14.7、CP0 26.3±21.5、CP1 21.4±16.1、CP4 22.7±20.3、MMP-8では健常 2.6±2.6、CP0 18.6±6.4、CP1 11.0±6.6、CP4 7.3±3.3となっている。IL-1βとMMP-8は処置後漸次減少傾向だが、MMP-8は処置後ちょっと下がったという感じ。
コントロール群でIL-1βとポケット深さ、IL-1βと歯肉指数、MMP-8とポケット深さ、一方の慢性歯周炎群ではベースライン時のIL-βとポケット深さ、IL-1βと隣接面プラーク指数に正の相関が、ベースライン時のIL-8とMMP-8に負の相関があった。
結局のところ、検索したメディエーターは健常な歯肉で低く、歯周炎で高くなり、治療で下がるがそれでも健常群よりは高い。というのも治療後もポケット(コントロールの平均が1.5mmに対し、慢性歯周炎群ではベースライン時6.4mmが治療後4週でも4.8mmある)や歯肉炎症(同様に歯肉炎指数は0.7、2.3と1.2である)が残存するからだろう。そして治療後の臨床パラメータと各メディエーターとの間には何らの相関もみられなかった。この結果ではあんまり面白くないかも。)
(平成24年11月24日)



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