<平成24年9月のブログ>

<イスラエル・ヨーロッパを旅した回顧録シリーズは月はじめ1回ペースでしばらく続きます。>

重荷を背負うがごとし

平成24年9月28日

ましになったとはいえ日中はまだ暑く感じる時がある。
三男が部活から帰ってきて、冷蔵庫から冷たい牛乳を取り出すとコップにいれてゴクゴク飲む。
「プファ〜これがないとあかんわ」と飲み干したコップを置く。

「オレ小さいとき、家で牛乳なんか飲めへんかったわ。好きじゃなかったし」とつぶやいた私に家人が
「そやから身長あんまり伸びへんかったんちゃう。背が高かったら、それだけでもっとモテたかもね」
「背が高いって、モテるよな。そっか、モテへんかったから、持てへんのがきたんか」
「そうやで、モテてたら、持てるようなもんがきたと思うで。人生万事塞翁が馬やね」
「く〜っ」

そっかぁなるほど 道理で狭苦く感じたわけだ

平成24年9月21日

大阪ガーデンシティにある、とある有名レストランで結婚披露宴パーティがあった。受付を済ませて奥へいくと、うわっ凄い人。小さくもない部屋だったが、何せあふれんばかりの人、人。「部屋の奥にはまだ余裕がございますので、奥へお進みくだいさい」なんてアナウンスがある。まるで朝のラッシュアワーだね。
人をかき分け奥にいくと顔見知りがたむろっていたので合流。さてしばらくすると、司会者が登場して口上をのべる。すると会場入り口近くで拍手がわき起こる。新郎新婦がお出ましのようだ。といっても背の高くない僕は大衆の頭がみえるだけで、主役の姿を見ることはできない。来賓の挨拶もそこそこで、すぐに乾杯になり美味なる料理が提供された。と舌鼓をうって帰宅した。

帰ってから子供に、パーティの様子を話す。
「パーティの参加者が多くて、部屋にぎゅうぎゅうやってん」
「ふ〜ん、どこであったん」
「美味しくて有名な、大阪で三本の指に入ると言われてるイタリアンレストランや」
すると長女は、「指に入るの。こんなちっちゃいとこに」と、指三本で輪っかをつくって、覗いた。

(立錐の余地もない会場)


ハードボイルドは大人の味

平成24年9月14日

タマネギ、ネギ、人参をコンソメスープで煮て、野菜を取り除く。パセリのみじん切りと固ゆでウズラの卵を加えて塩コショウで味を整える。うずらの卵スープができあがりだ。メイン料理と共に配膳すると、次男はさっそく「卵ちょうだい」と三男にすりよる。
三男は「ええで」。無償譲渡がおこなわれる。
次男は”卵王子”と称される人物で、一方の三男は固ゆで卵が苦手なのである。交渉が即成立するゆえんである。
三男に聞く、「ゆで卵あかんの?」
「半熟までやったらええねんけど、固ゆではあかんね」
「ふ〜ん、未熟者やな」
「へっ、ふふふ」

姫!お履き物はいかが致しましょう

平成24年9月7日

<イスラエル・ヨーロッパを旅した回顧録 その11>
予定外で飛んだローマだった。観光局でもらった地図と睨めっこする。市街東端のテルミニ駅から西のバチカンまで4Kmほど、その中間のエリアにはスペイン広場、フォロロマーノ、コロッセオ等々が位置する。ローマはステキな街だった。僕には街がもう遺跡そのもののようで、交通機関を利用するなんて勿体ないように思えた。歩いてこの街を満喫するのだ!と、歩ける所を一日歩き回ることにした。
さて
コロッセオの遺跡を横目で見ながら歩いている時だった。と、「もう、いや〜」。んんっ!聞き慣れた日本語を耳にした。振り返ると、叫んだと思われる若い女性が半べそ。20代前半、可愛いおしゃれなワンピースを着ている。すぐ後ろにこれまたおしゃれな服を着た男がいる。
ふむ、と思って見ていると、もう一度「もう〜〜いや」「もう歩くのいや!」と履いていたハイヒールを右、左と放り投げて、素足で段差のあるところに座った。おおおっ。何が起こってるんだ。
普通に考えれば、これはどう見ても日本人新婚カップルのハネムーンだ。
若い二人はウキウキ、ラブラブでいるハズではないのか。
きっときっと、旅行前には喫茶店でヨーロッパハネムーンのパンフレットやガイドブックを広げて、二人楽しげにお茶していただろう。
彼氏は彼女に近づくが、何やら罵られているような様子で、ひきつった顔をしたまま立ちすくんでいる。
きっときっと旅行前二人は、デパートへ行き、「これ、ローマの街でも似合うかな」と、おしゃれな服を選んでいたのではないだろうか。
二人は何やら言い合っている。彼女は動かない。二人の会談がどのような内容だったかは、私には推し量りかねた。しかし、恐れ多くも、二人の行動を目の当たりにすることはできた。彼女は指先を向こうの方へ示してキツイ言葉を吐いた。彼氏はおずおずと、躊躇しながら彼女から離れる。途中とまって、彼女のもとへ戻ろうとすると、彼女は行ってこいとばかりにもう一度遠くを指さした。
きっときっと旅行前二人は「ヨーロッパ楽しみだね」と額を付き合わせていたかもしれないのに。
未練たっぷりに離れていく彼氏をよそに、彼女はうつろな目でローマの空を見上げている。
この二人がこれ以降どのような修羅場を演じたのか、私にはわからない。
これがドラマなら、1週間後の同じ時刻にテレビのスイッチをつければ、この続きを、ことの顛末の詳細をつぶさに見ることができたのだが、残念なことにこれは現実だった。小説、ドラマより奇なる現実だった。この一場面が二人の人生一大転換点だったのか、果たして笑い話になったひとつのエピソードにすぎなかったのか、今となっては永遠の謎だ。
ジャーナリストを志望する人なら、カメラ片手に二人のそれからを追いかけたかもしれない。彼氏や彼女にもマイクを向けたかもしれない。申し訳ないが、そういう志向のなかった私が皆さんにレポートできるのはココまでなのだ。

彼氏はとぼとぼ歩いている。彼女は手を振ることもしない。
彼は振り返り彼女をじっとみる。彼女は見向きもしない。
ハイヒールは僕の目の先で転がったままだった。

ローマ
左上)ピンチョの丘:別に早まったことをしようとしたわけではない
中央上)フォロロマーノ:遺跡を損なわずに歩いて見学できるように渡り板が巡らされている
左下)スペイン広場:訪れたときにはあいにくヘップバーンはいなかった
中央下)たまたま通りがかったがお休みだった。店内にも商品にも興味がない僕にとっては、写真が撮りやすくて好都合だった
右)コロッセオ:上述の出来事の現場近く

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