<平成25年11月のブログ>

しまった、オレは道を見逃したか 

平成25年11月29日

うららかで天気のよい休日、電車バスを乗り継いで、犬鳴山のバス停についた。こぢんまりとした温泉郷を抜け幾つかの滝をみながら、うっそうとした木々の中、川沿いの道をちんたら登っていく。家人とだべりながらいける程度の登坂である。しかも、途中犬鳴山伝説の由来となる義犬のお墓や鮮やかな紅色の橋など気を紛らわせるものがあるので退屈しない参道だ。
さて、七宝瀧寺を越えると、山の斜面にある石段を登り、お寺を眼下に川から離れて林道に入る。すぐに現れた隧道を通り抜けると、舗装された林道をひたすらだらだらとゆるやかに登っていく。両脇の木々は高く空へ向かうので、視界は遮られる。急ではないが単調で同じような登りが続きメリハリもないので、先ほどとはうってかわって足取りも鈍くなり、二人だんだんと無口になる。あまり景色も目に入らずひたすら歩を進める。
と、道標を見つけて手に持つ案内図と見比べて、ハタと気がついた。う〜ん、なんかへん。ハイキングコースを外れているようだ。既に山道に入っているハズなのに案内図と違うゾ。家人と案内図を挟んで頭を付き合わす。
「ほら、この辺りで山道へ入る入り口があったハズやねん。そんなとこあったっけ」と、地図を指さす。
「いや〜、気がつかなかったわ」
「このあたり黙々と歩いてたからなあぁ」
それから案内板が出てきて道を確認すると、途中で山道を行くはずが、分岐点に気がつかず、遠回りの林道を進んでしまったようだ。しかし、全く違った方向を進んできたわけでもなく、気がついたところから山道に入り直せばとりあえず目的地へは行けるのがわかったので気をとりなおして歩き続けた。山道は林道とは違って斜面は急だった。途中休憩して先はまだかと前方を見上げると、根性ナシをあざ笑うかのように山道は木々の間を左右に縫って、最後は茂みに隠れ入っている。展望の良い道もあり、つづら折りに続く山道はハードだったが森の中は心地よかった。おおよそ予定通りの時刻に目的地に無事たどり着くことができ、昼食の後に同じ道を下山した。
帰路は道の勝手がわかったので、もう迷わない。何せひたすら下りだし軽快だ。途中、行きなしには通らなかった本来のハイキングコースにさしかかった。結構急な山道で、下りだが、でこぼこ道の勾配が大きくて岩肌に支えを求めないと、降りることができないような場所まであった。
「こりゃ、行きしなにこの山道登ってたら、えらいしんどかったで。遠回りでも、なだらかに登る林道の方が体は楽だったかもね。道を間違って正解だったかも」と言った言葉尻を捕まえられて、家人がのたまう。
「道を間違った方が正解だった、って人生もそうかもよ。示唆に富んでいるでしょ」

あなたが落とした硬貨は 

平成25年11月22日

フィットネスクラブにある自販機の前で女の人がキョロキョロと床を眺め回している。突然ガバッと伏せ!の姿勢をとったかと思うと自販機の下をのぞき見た。その滑稽な姿に気がついた、ジムのスタッフが集まってきた。

「先生、どうしはったんですか」どうもインストラクターの人だったようだ。
「10円玉落としてん」
「この下?」自販機の下を指さす。
「たぶん」

スタッフの人が長い棒を持ってきて、自販機の下をゴソゴソさぐる。
「埃しか出てけえへんね」
皆が見守る中、しばらくすると棒で探っていたスタッフが
「あ、、あった」「出てきたわ」
しかし、出てきたのは銀色の硬貨、そう100円玉。
「100円玉でてきましたよ、よかったですね」
「ち、ちがいますよ、私が落としたのは10円玉」
「じゃあ、これは違うんだ」
引き続きスタッフの人が一生懸命自販機の下を長い棒で捜していたが、それ以上でてくるのは本当にゴミだけ。

「でてきませんね〜」
「じゃあ 10円は諦めます」銀色の硬貨を握りしめたインストラクターはみんなに、ありがとうと言い残して立ち去った。

今更 なにをかいわんや 

平成25年11月15日

日曜日難波へでた。
たまたま見つけたおいしい紅茶のお店に入る。紅茶だけではない、ケーキも美味しそう。
そこで家人ともども、紅茶+ケーキを注文。
「モンブランにパイ生地」
「焼きリンゴにクレープ」
さて、でてきたケーキは大きなお皿にどちらも結構なボリュームだった。
「晩ご飯たべられへんわ」
家人は笑って、嬉しそうに食べていた。

翌朝、トースターにパンを一枚、これは自分の分、そしてもう一枚家人の分、、、を入れようとすると、横から家人は「いらん」と言う。
「何で」
「食べ過ぎ。体重が増えている」
昨日紅茶のお店で、「晩ご飯食べられへん、って言ってたんちゃうの」
「それ、真っ赤な嘘」

帰りはうどんを一杯 

平成25年11月8日

家人は淀川マラソンへと出かけた。
ゆっくり寝ていた僕は寝床から、感謝の意を伝えマラソン頑張ってください、とメールを送った。
返事には「雨やねん、、」そうか雨だったのか。僕は気がつかなかった。
「普段しなれんことしたからやわ」そう書き添えられていた。

その日家人は珍しくも、朝早く起きていたのだ。
そして洗濯もして、洗濯物も干していた。朝ご飯も用意していたのだった。

家人がマラソンを走っている間、雨は小康状態で大きな難は逃れたようだ。怪我もせず、無事に完走できていた。子供達の昼ご飯を用意して、車で迎えに行った時には、雨は強くなっていた。
17淀川ハーフマラソン

生きる道 

平成25年11月1日

受験生を二人抱える我が家は彼らの進路を含めてやきもきする時期に差しかかってきた。
昔、大学の教官だった頃をふと思い出す。

その女子学生は最終学年の6年生半ばで退学すると言い出した。
直接の担当ではなかったが、
「なんで?実習しんどいの?」
「歯医者になりたくないんです」
彼女にはお姉さんがいて、何年か前にこの同じ学舎を経て卒業していったのを僕は知っていた。
「そうかぁ、でもあと数ヶ月、半年もたたずして卒業やで。せめて卒業しいや。もったいないやん」
生きていたら誰しも壁にぶつかることもあるわいな。逃げんと頑張って乗り越えたら、と言おうと思ったが。
「そやけどやめてどうするの?」
「私はもともと陶芸家になりたかったんです。」
彼女は家からの圧力を受けて、不本意ながらお姉さんと同じ大学、学部へやってきたのだ。
「やめて陶芸家になるの?」
ここまでずっと我慢してしてきたのだろう。
「はい」
彼女はすかさず、はっきりそう言った。
「そうか、そんなステキな自分のしたいことがあって既に決めたのなら、あと半年ほどの時間ももったいないわな」
ほどなく彼女は大学でみかけなくなった。

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